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アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) (電撃文庫) [感想]

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) (電撃文庫)

 

第17回電撃小説大賞 銀賞受賞作

 

ある日、主人公の冴上誠一は屋上から飛び降りた少女を見る。それがクラスメイト羽鷺雪名との出会いであり、数秘術師との出会いでもあった。世間では願いを叶えてくれる赤帽子の噂が流行っているのだが、誠一の妹がこれを試し、誘拐されてしまう。誠一は必死に妹を探すのだが、探していく中で奇妙な現象に襲われる。空中に浮かぶ無数の数字が見えたのだ。

 

数を操ることで奇跡を起こす数秘術師と、確立を操る怪人との戦いが始まる。

 

物語には数学的な知識が入り込んでくるけれども、数学に関しては難しいことは言っていない。確立云々にしても、事象が持っている発生する確立を操作するというもので捉えやすい。そういう意味でも、数学を使ったバトルはスタイリッシュに楽しめる。

 

物語が持っている雰囲気が魅力。

 

作中に流れている空気、暗いけれども暗いだけじゃない、変に現実感のある空気感が好きになれた。その雰囲気に引っ張られるようにして、登場人物が存在していることも特徴で。

 

キャラクターとして個性が際立っているわけではないのに、キャラクターが生きてくる。キャラにタイプ分けがされていれば、この人はこういう人だよね、というのが言えて分かりやすいのだけれど、本作では基本的に性格や言動が枠に収まっているキャラが多いように映った。

 

それでもキャラクターが埋まらずに書き分けられているのは良さであるし、だからこそ、唐突に入れ込まれるシチュエーションの差が面白いと思える。雪名の可愛らしさなどは破壊力があった。

 

赤帽子との戦いも、誠一は何も力を持っていない中でも、妹の為に立ち向かっていく姿が良かった。雪名もそんな誠一と一緒にいることで何かが変わってきて、それが雪名と誠一の交わした約束に繋がる。綺麗だった。

 

数学で戦うという設定が好きになれましたし、背景だったり世界観にも好印象で、こういう雰囲気の作品が好きなのだと再認識しました。面白かった。続きも気になる。

 

 Presented by Minai.

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) (電撃文庫)

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) (電撃文庫)