犬とハサミは使いよう (ファミ通文庫) [感想]
第12回えんため大賞 優秀賞受賞作
ある日殺された春海和人だったが、本が読めなくなることへの未練で蘇る。しかし、生き返った彼の姿は犬だった――本を読むことが大好きな読書バカと、本を書くことが生きがいの執筆バカの物語。
あらすじでも確認できるが、コメディ。主人公とヒロインの掛け合いを読んで楽しむタイプの作品になっている。
主人公の和人が本を読むことが大好きということで、毎日死ぬほど本を読んでいるのだけれど、そこには共感が出来た。むしろ、犬になって本が自由に読めるならそれもアリかなと思ってしまった。
物語は和人を殺した犯人を見つけ出そうという流れになるのだけれど、ここからの展開は意味が理解できない感は否めないというか、上手く伝わってこなかったというか。バトルする必要はあったのか、と様々な疑問符が頭を回る。
全体的にコンパクトにまとまっているようで、まとまっていない不思議な印象を受けた。ミステリの要素が小さく、バトルは微妙、ラブコメに発展する期待をさせつつ、ギャグのセンスは嫌いではないが展開が地味。
笑いの部分で、夏野の暴言に対して和人が反応する。和人の言動に対して夏野が罵倒して、全力で謝罪などのパターンに決まってしまっているので、広がりが見えないのが残念。
読み終わって、面白かったのか面白くなかったのか分からない。
ただ、文章は異常なほど読みやすかった。
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- 作者: 更伊俊介,鍋島テツヒロ
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