剣の女王と烙印の仔〈1〉 (MF文庫J) [感想]
周囲の者の命運を喰らうといわれる「獣の烙印」を持つ主人公クリスは、傭兵として戦場を渡り歩いてきた。その彼に殺される未来を見続けてきた少女ミネルヴァが出会うことで、運命は捻じ曲がっていく。
王道のファンタジー。
クリスは今まで傭兵として生きて来たわけなのだが、彼の所属した部隊は彼以外は戦死するとして忌み嫌われてきた。そのことをクリス自身も嫌になっているのだけれど、彼の中の獣がいつ暴れだすかも分からず、彼はそうすることでしか生きていけない。
そんな中でミネルヴァと戦場で出会い、彼女の側でなら無理に生きていかなくても自然に生きられるのではないかと思い始める。疑心暗鬼なクリスの心が誰かを守っていく方向に向うのが良い。
ミネルヴァの仲間はフランチェスカを守ることで、彼女のために銀卵騎士団は動いているのだけれど、純粋にフランチェスカの為に戦えていることがクリスには羨ましく見えて、自分もその輪に入りたいと思うようになる。
クリスが変わっていくのが面白い。
また、ミネルヴァが可愛らしい。戦いとなれば強い彼女なのですが、クリスが寝込むと心配したりする。ふとしたことでクリスに寄りかかっている部分も見えて。彼女も運命を捻じ曲げたクリスに惹かれているし、彼を頼りにしている。
登場人物たちが過酷な運命や状況に晒されている、物語も悲しさがあるのですが、生きている人の一生懸命さが伝わってきて、心が温かくなった。
面白かった。
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- 作者: 杉井光,夕仁
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2012/09/01
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