そして、誰もが嘘をつく (電撃文庫) [感想]
豪華飛行船ティターン号での旅。少年アデルベールは小さなティッカと共に乗り込むが、この船には冒険家、女優、新聞記者、侯爵など個性豊かな人たちが乗り合っていた。そんな中で、世間を騒がす怪盗セニンから、青いダイヤをいただくという犯行予告が届く。
ミステリーとさまざまな嘘。
物語は中盤まで人物紹介と楽しい飛行船の旅が続いていくのだけれど、それ以降は飛行船という密室空間を使ったファンタジックミステリーに移り変わっていく。
しかしながら、そこまでミステリーかと言われるとこれもまた難しいところで、怪盗が宝石を盗む、犯人探し、と流れはそれらしいのだけれど、そこまで深くはない。物語の肝心な部分は登場人物たちがつく様々な嘘にある。
人は誰しもが嘘くらいはついてしまうもの、建前で嘘をついたり、誰かを庇う為に嘘をついたり、嫌な嘘もあれば、優しい嘘もある。まさに人柄や立場によってそれが変化するのを見せてくれた。
登場する人たち全員が何らかの嘘をつく。そんな何らかの嘘、何故嘘を言うのか、そこで置かれている立場など考えつつ、楽しんで読める。
心を温かくさせて終ってくれたので、読後感は良い。リラとアデルベールは今後どうなっていくのでしょう。また、魔法使いというキーワードが謎のままなのでそこも気になる。あの人やあの人とのつながりはどういうことなのだろう。
面白かった。
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- 作者: 水鏡希人,Tea
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