羽月莉音の帝国 7 (ガガガ文庫) [感想]
ロシア編。
ロシアでロシアロケット社を設立してミサイル開発を推し進めていた革命部だが、上手く進めすぎた為に会社を奪われそうになる。革命部はそれに反発し、大国と金融戦争をすることに。国家という大きな枠組みが見えてきたのが良かった。
革命部として上手く立ち回り生き延びる過程で、恒太の仲間を思う気持ちが見えたのは印象深い。安否の分からない莉音たちを内心は心配している恒太。そもそも、ロシアに対して金融で戦争を挑んだのも恒太で、いてもたってもいられない彼の静かな怒りを感じた。
それに今回は恒太が大活躍するし、いつもわけが分からない恒太が格好良く見えたりするので、そこにも注目してもらいたい。
物語は一冊を通してロシアとの戦いを描いているのだけれど、一企業が国を敵に回したときの恐ろしさが理解できたし、企業ですらこれなのだから個人ではどうすることも出来ない。社会とは損得勘定の付き合いでしかない。
そういう意味で、やった者勝ち、力があるほうが正義、世論の力とコントロールされる世論、非常に政治的な措置でありそれが国だといわれたら終わりだけれど、読んでいると世界とは何だったのかと不信感に苛まれるのが作品の持ち味だよなと再認識した。
また、流れからもう一度説明するがごとく、始めの頃と比べてスケールが変化はしているが根本は変わっていないはず、けれども国家が関わることで読み手の視点はシフトさせられる、上手い。
個人的にはロシアの歴史を踏まえて、諸外国と対比させながら、ロシアという国のシステムを説明してくれたのが嬉しい。資源大国であるロシアの産業はお金の価値と合わせて、現代と過去のロシア、FSBを筆頭に他国の情報機関にも触れている。日本でもモサドなどは記憶に新しいのではないだろうか。
楽しませてもらいました。面白かった。
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- 作者: 至道流星,二ノ膳
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