火の国、風の国物語6 哀鴻遍野 (富士見ファンタジア文庫) [感想]
自ら人質となったクラウディアを救うために、王国軍は解放軍との停戦交渉に望む。同じくして北からは傭兵が侵攻を開始した。アレスとミーア、英雄二人が北の民のため共闘する――。
アレスは強かった。
やはりアレスは最強の一言に尽きる。赤の悪魔憑きと恐れられるだけあって、今回も一騎当千の大活躍。北の侵攻に援軍を待っている人々の想いを受けて、颯爽と登場するのには鳥肌が立った。
期待させて期待させてしっかり仕事をしてくれるので気持ちが良い。戦場での大活躍と、傭兵という敵を倒したことでアレスが受け取ったこととは何だったのか。戦い終わった後で戦場に立ち尽くした彼の姿は印象深い。
そんなアレスの活躍に対して、地味にはなってしまうけれどもミーアも活躍している。二人がいなければ駄目だったことは確かだった。
また、ここに至るまでの停戦交渉でのやり取りにも楽しませてもらった。カルレーンとジェレイドで交渉は行なわれるが、二人の交わす会話は政治的な言い回しによるもので、お互いに相手の真意を探り合ってどうにか優位に進めようとするのだが、譲歩するところも弁えている。
頭を使った戦いがそこにはある。腹の探りあいではあるけれど、譲歩するところは譲歩していて紳士的だった。読んでいて、この戦いも気持ちが良い。もっとも、二人とも主導権を王女に握られるとは思ってもいなかっただろうが。
王女はこの交渉に対して常に主導権を握っていた。的確に二人を導いていて、ある側面では彼女の思うように物事が進んだとも言える。
面白かった。北との戦いがこれからどうなっていくのか楽しみで仕方ない。
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- 作者: 師走トオル,光崎瑠衣
- 出版社/メーカー: 富士見書房
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