煉獄姫〈3幕〉 (電撃文庫) [感想]
物語の闇が見えてきた。
ユヴィオールが進める王子暗殺計画。確実に目的を遂行しようとするしたたかさ、自ら凄腕の仲間を集めた手腕もそうですが、フォグに自分の本性を掴ませない彼の立ち回りが華麗。
加えて、集めてきた仲間にも物語の繋がりがあって。思わぬキャラクターが登場するから面白い。特にレイドなどは煉術を開発した人物でもあり、自身の名前が煉術の名前にもなっている。他にも、他国の存在を自然と説明する流れになっていたのは流石だし、そういう細かいところでも楽しませてくれる作品作りも著者の魅力だ。
第一王女と第二王女。
アルトとマーガレットに触れていたのが一つ特徴。アルトにとってはフォグとイオが全てだと思うのだけれども、妹のマーガレットと出会うことで心境にどんな変化があるのか。地下から出られないアルトは上でのフォグを知らないが、マーガレットは王宮にやってきたときのフォグしか知らない。
マーガレットと親しげに会話するフォグを見て不安がるアルトが愛らしいですし、フォグと一緒にいるアルトを見てショックを受けるマーガレットも可愛いといえば可愛い。それに王女を守る騎士としてマーガレットと仲良くするフォグを快く思わないキアヌなど、各々の感情が上手く表現されていた。
この場面ではフォグの視点からなので、アルトを大切にするフォグの気持ちが強く出ており、改めてアルトとフォグの絆を感じることが出来る。
また、フォグに恋するマーガレットと、マーガレットに恋するキアヌがどういう役割を持って絡んでくるのか楽しみになってきたので、想像させて楽しませる辺りも上手いなと。
面白かった。
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- 作者: 藤原祐,kaya8
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