こうして彼は屋上を燃やすことにした (ガガガ文庫) [感想]
第5回小学館ライトノベル大賞 ガガガ大賞受賞
くらえ、ドロップキック。
立ち入り禁止の屋上に集まる4人。現実に復讐して自殺してやろうと考えていたけれど、自らの問題が解消されていくことで生き方が変わる。「オズの魔法使い」をモチーフにしたキャラクターたちが、がむしゃらに青春しているのが良かった。
ドロシーは彼氏に振られて自殺してやろうと屋上のフェンスを越えるわけだけれど、そこで見知らぬ3人、ライオン、カカシ、ブリキに出会ったことで自殺を思いとどまる。自殺しようとしているのに、カカシがフェンスを揺らしたらしっかりとしがみつく。
死にたいはずだけれど、死にたくない。
自殺するなら復讐してからにしろと言われるドロシー。自殺という同じ考えを持った仲間がいることで、彼らに共感しポジティブになれる。死んでやろう、どこか宙に浮いた儚い人間関係、話が進むごとに他の3人の自殺を止めるポジションになる彼女が素敵。
仲間と悩みを共有することで少しは死にたくなくなる、生きていたいと思えるようになる。一人で悩むより、みんなで悩んだ方が楽になる。読み終わってみれば、王道で青春している物語。
彼が屋上を燃やすことにした理由は――。面白かった。
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- 作者: カミツキレイニー,文倉十
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/05/18
- メディア: 文庫
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