”葵” ヒカルが地球にいたころ……(1) (ファミ通文庫) [感想]

野村美月さんの新シリーズ。

主人公の赤城是光は見た目が怖いことからヤンキーだと誤解されているが、本当は素直で真面目なとても良い奴。そんな彼はろくに話したこともない学園の皇子、帝門ヒカルの葬式に出席するのだが、そこで何故だかヒカルの幽霊に憑かれてしまう。

是光は心残りがあるというヒカルに協力することに。

ヒカルは幽霊なので周りの人には見えません。是光だけが見えるので、ヒカルの言動に一々ツッコミを入れていると不審に思われます。方や女の子苦手、方や女の子大好き、対照的な二人の掛け合いを楽しませてもらいました。

コミカルさで物語に引きこむのだけれど、ヒカルの願いは儚くて純粋なので、徐々にそこが分かっていく流れは綺麗。タイトルにもあるように、ヒロインの葵さんを振り向かせようと、ヒカルの想いをどうにか伝えようとする是光なのだが、ヒカルは女たらしで有名だったので、葵はヒカルが嫌いだといい話を聞いてもらえない。

それでも諦めずに、ヒカルの想いを伝えようとする是光の姿が良かった。物語が進むごとに、葵を想っていたヒカルの気持ちが伝わってくるし、葵にしてもヒカルのことが大好きなのだなと伝わってくるので、何とも温かい気持ちにさせられる。

――友情も読みどころ。

顔が怖いことでヤンキーと間違えられて友達のいない是光。女の子には人気があるしモテるが、男子には疎まれて友達のいないヒカル。二人は対照的だけれど、どこか似ているので、少しずつ友達だと思うようになる流れは熱い。

幽霊に憑かれて迷惑そうにしていた是光が、死んでいるはずのヒカルのことを真剣に考えるようになる。屋上で叫んだ是光は格好良かったです。

面白かった。続きも期待して待ちたい。

Presented by Minai.

Infinity recollection