ルナティック・ムーン〈5〉 (電撃文庫) [感想]
完結。
世界を回帰させる。バペルに収束していく戦いもクライマックスを迎えて、生きる人間と死んでいく人間とに極端に分けられ、物語が一気に終った。
特にイユとフィオナは印象的。
これまでも危うかったイユだけれど、ついに心のバランスが壊れた。思考が変な方向に進みすぎて、本来なら大切なものを破壊しようとする。そんな彼女が最後に手に入れたもの。
家族を手に入れたところから滑り落ちていく展開は強烈。僅かな光が見えのが救いだろうか。
フィオナの行動にも驚いた。彼女は過去を過去として捉えられる人間だと思っていたのだけれど、ルナに対する感情を抑えられずに暴走する彼女には悲壮感が漂っていた。
その感情に真正面からぶつかって行くルナとシオン。ルナがフィオナの姿に母を見たように、フィオナもルナに姉を見ていた。二人が会話する最後は美しかった。
結局、世界はどのように変わったのかと言われたら、何も変わっていないと答えるしかないのだけれど、少なくともルナとシオンの未来は守られた。エピローグで語ってくれるのは嬉しい。
面白かったです。
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- 作者: 藤原祐,椋本夏夜
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