ブラック・ブレット 神を目指した者たち (電撃文庫) [感想]
突如として現れたウイルス性の寄生生物ガストレア。人類がその脅威に気付いたときには何もかもが遅かった。世界のあらゆる国土はガストレアに侵略され、人類は数少ない安全地帯に引き篭もり仮初めの平和で生きながらえていた。
東京エリアで対ガストレアのスペシャリスト「民警」として戦う蓮太郎を主人公に、彼の相棒である延珠との関係性を描いていく近未来アクション。
無骨な銃や刀剣と女の子という組み合わせが美しい。
ガストレアウイルスに感染し、超人的な身体能力を保持する「呪われた子供たち」。延珠もその一人なのだけれど、この延珠を含めて登場するイニシエイターの女の子たちは、可愛らしい容姿と反比例するかのように皆超人的な身体能力に無骨な武器を抱えている。一見してアンバランスに映るが、落差があるので想像していて楽しい。
蓮太郎と延珠。
普段はちょっとおませな子供で蓮太郎を困らせるけれど、独特な口調と明るい性格延珠が可愛らしい。蓮太郎にしても延珠を大切にしていて、そこには家族の絆が見えます。二人が見せる絆の戦いが熱かった。
また、社会に蔓延っている差別に立ち向かっていく登場人物たちが良い。「人間」であることに信念を持って生きていく、世界が自分たちにとって理不尽に腐っていることを知りながら、人々のために戦う彼ら彼女らの後姿には何ともやるせなさを感じる。
今ここで誰が平和を維持しているのか知らないで、平気で暴言や差別を口にする。――けれども、蓮太郎にはその気持ちも分かってしまうのだ。人助けをするかしないかで迷ったり、悩んだりする彼はどこまでも人間くさい。
面白かった。今後に期待しています。
Presented by Minai.

ブラック・ブレット―神を目指した者たち (電撃文庫 か 19-1)
- 作者: 神崎紫電,鵜飼沙樹
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2011/07/08
- メディア: 文庫
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