寄生彼女サナ (ガガガ文庫) [感想]
5回小学館ライトノベル大賞 優秀賞受賞作
主人公の腹から飛び出してきたのは美少女だった。少女は自らを寄生虫が進化した新しい生命体「パラシスタンス」だと名乗り、主人公を守るのだという。仕舞いには常に一緒にいるために彼女になると言い出す始末で――。
序盤は、感情の表現が独特でテンションの高い従妹にのまれてしまってあまり楽しめなかった。唐突に発情するというのもバカだなと笑う反面、一歩引いてしまいました。従妹は好きになれません。
――けれど、読み進めていくと意外と青春ラブコメで、完成度が高い。
個人的にキャラクターのテンションで引っかかってしまったが、本筋としては青春ラブコメの軸はしっかりしていますし、主人公が己の行動に対して悩んで答えを出していく過程も楽しませてもらいました。
寄生虫の美少女というので、内容も面白おかしく書いてあるのかというとそうではない。寄生虫という要素を作品の中に落とし込んで、主人公の立ち位置やものの考え方とリンクさせていく描き方をしているので、主人公が体験する青春について読み手にも考えさせる。
笑わせる場面や長台詞、発情した従妹の下ネタはスベっている気がするけれど、文章は読みやすいですし話の流れとバランスも良く非常に良く出来ている。面白かった。
Presented by Minai.
- 作者: 砂義出雲,瑠奈璃亜
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/07/20
- メディア: 文庫
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