うちの魔女しりませんか? 2 (ガガガ文庫) [感想]
魔女の少女と人間が出合い、別れる物語。
前作と時間軸は同じく、平行するように描かれる。なので魔女が絶滅危惧種に指定されていて、保護されているというのも同じで、最後の魔女が亡くなったというのも同じだ。つまり、前作を読んでいればオチは最初から見えていることになる。
――それでも、面白い。
物語にはどこか温かみがあって、どうしようもなく切ない。魔女の少女ヒメが必死にそこで生きている。魔女と人間の関係性が作中ではデリケートだが、そこを通して大切なものを見つける展開が好きだ。
主人公の敦也は不良少年で性格もひねくれているから、ヒメに対して意地悪をしてみる場面が多いのだけれど、その意地悪も読み進めていくごとに単なる意地悪ではなくなってきているように映る。
ヒメも普段は偉そうな口調で物怖じせず敦也に命令していくのだけれど、読み進めていくとそこには信頼関係が出来上がっていることが分かってくる。また、例によってたい焼きを食べたときだとか、見た目の年齢よろしく人間社会の風景、娯楽に触れるたびにオーバーリアクションするのがとても可愛らしかったりする。
「出会った人間はみんな良い人だった」ヒメが帰ってしまったあと、敦也は心底その言葉をかみ締めることになる。人間の世界だって捨てたものじゃない。思わず感動してしまった。
最終的に別れた二人だけれど、別れ際に二人が手にしたものは大きかったですし、二人の成長を見届けられたのは嬉しい。切ないけれど、良いお話でした。
面白かった。
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- 作者: 山川進
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/08/18
- メディア: 文庫
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