Infinity recollection

ライトノベルを中心に感想を載せているサイト。リンク+アンリンクフリー。

全滅なう (一迅社文庫) [感想]

全滅なう (一迅社文庫)

 

第九シリーズ。

 

うわーむずむずするー。心臓を鷲掴みされたかのように胸が痛い。主人公が恋に悩んで何も手に付かなくなってしまう姿が青春だった。

 

相変わらず主人公は独特の切り口で独白する。その台詞は大抵、一気にまくし立てる様に押し寄せるので何とも理解し難いのだけれど、この文章になれてしまうとむしろそれが心地よい。思わず背中を押して助言して、応援したくなる主人公がそこにいた。

 

物語は全滅因子やら異能的なものが飛び出す世界なのだけれども、終始描いていくのは恋愛。全滅などはちょっとしたエッセンスでしかない。中盤以降でそのことに気付かされたのだけれど、一回ハンマーで叩かれているからこそ、主人公とヒロインの純粋なまでの感情の変化だとか、仕草に切なくなり胸がときめいてしまう。

 

最初抱いた主人公の印象はとても好きにはなれそうになかったけれど、物語が進むごとに本当に良い奴だということが分かる。確かに博愛主義者で偽善的ではあるが、その思いが嘘ではないし純粋に本気でそう思っているので、良い奴としか言えない。

 

ましてやそんな良い奴のまわりには良い奴しかいないわけで――悩みを聞いてくれる友達たちまですげー良い奴。

 

恋したことすら気付いていなかった主人公が、ヒロインのことを好きなのだと気付いて、それでも思いは伝えられないから悶々とする。距離感が曖昧な二人、相手は好きなのか嫌いなのかお互いに悩んでいるのが伝わってきてもどかしい。

 

面白かった。

 

 Presented by Minai.

全滅なう (一迅社文庫)

全滅なう (一迅社文庫)