白翼のリンケージ (集英社スーパーダッシュ文庫) [感想]
赤井紅介さんの新作。
世界には謎のウイルスが蔓延しており、一度感染すれば感染者は異形の化物イルへと姿が変わってしまう。個人的にイルを狩る高遠楓は戦闘中、政府の特殊部隊に所属する七条明日花と出会い、共闘することになるのだが――楓は明日花を庇い運悪くウイルスに感染してしまう。
一度は死を覚悟した楓だったが、明日花にキスされたことで変異を免れる。その代わりに、お互いの感情、痛覚を共有することになり、自分が死んだら相手も死ぬという一蓮托生の関係に。
リンクで繋がっているのに、それを忘れてお互いに暴言を吐きあい、殴り合い、二人して蹲るのには思わず笑ってしまう。微笑ましいです。また、相手の考えていることが分かるので、お互いに意識し合ってしまってぎくしゃくするのは良い。
相変わらずキャラクターの考えを描写するのは上手い。
展開も今このときの全力を出しているのが伝わってくるのは清々しかった。――ただ、展開が早いと感じる場面も少なくなかった。早い展開は著者の持ち味であるし、内容を圧縮しているのも好感が持てるのだけれど、今回はそれが雑に映る。
冒頭の駆け足で状況を把握するのに手間取るのと、終盤の展開に動揺してしまって折角のテンポを失った。
キャラクターは読んでいて楽しいですし、物語も面白いのだけれど。
Presented by Minai.
白翼のリンケージ (白翼のリンケージシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 赤井紅介,IsII
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/08/25
- メディア: 文庫
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