烙印の紋章 9 (電撃文庫) [感想]
ギル・メフィウスとして戻ってきたオルバ。
物語は西方からメフィウスへと舞台が移るわけだけれど、オルバが得てきたものとはなんだったのか。自らのために戦ってきたオルバが、改めて皇太子として周りを背負い込んで戦う決意を固める。そこで恐怖するオルバを見て、やはり変わったと。
皆のためにも死ぬわけにはいかない。ましてや死なせるわけにもいかない。上に立つ者としての気概を見せてくれました。
ビリーナにたじろぐオルバの構図も面白かった。面と向かって話し合ったことなどなかったので、ビリーナが何故怒っているのか分からないオルバ。食事に誘ってみるものの、一言二言の会話で満足してしまうオルバ。それに呆れるビリーナと、距離感が面白い。
そんな距離感はランにもいえて、踊り子と間違えられて口説かれたとオルバに進言したときの彼女に、オルバが返した言葉。ランに足を踏まれるわけだが、この距離感が物語を楽しませる。
作品としても重要な分岐点。シークの死を背負って前を向く、オルバが見つめる未来はどうなっていくのか。シークを一兵士として弔ったオルバの心理には何とも言いがたい。皇太子として行動しているということか。
面白かった。続きが楽しみだ。
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- 作者: 杉原智則
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2012/10/10
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