Infinity recollection

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アトリウムの恋人 2 (電撃文庫) [感想]

アトリウムの恋人 2 (電撃文庫 と 8-12)

 

東京をあきらめない。

 

現実の東京を舞台に、魔王を倒すゲーム「東京スフィア」が開催される。主人公たちもパーティーを組んでこれに参加するのだが、徐々に現実と仮想の境界が分からなくなっていく。

 

ゲーム参加者は予めランダムで職業が割り振られる。職業には、攻撃力や防御力や移動力といったステータスが能力としてあり、プレイヤーそれに合わせてゲームをプレイすることになる。

 

チェスをプレイするように現実世界であるはずの東京をマス目にそって移動する。

 

ゲームには移動力を超えてマス目を移動できないというルールがあるので、現実世界にいるはずが自由がなくなっていく。始めはマス目移動に戸惑う主人公たちが、物語が進むごとにマス目移動、ゲームに慣れていく姿は恐怖。

 

物語は魔王を倒すために、四天王に守られたゲートを開放していくことになるのだが、ゲートの場所が新宿御苑やら高尾山に秋葉原、昭和記念公園とまさに東京。

 

普段なら電車やら徒歩で直ぐにいける場所なのに、マス目で拘束された主人公たちには未開のダンジョンに映る。高尾山などは特にそうで、三日もさ迷ったのは笑いごとではない。

 

ゲームに嵌れば嵌るほどに、ゲーム内での死が怖くなっていく。夏休みという短期間であるはずなのに、精神を削り取られていくプレイヤーたちの姿がそこにはあった。

 

彼らにとっては現実世界の東京が仮想世界になっており、それこそ紛れもない現実だった。面白かった。

 

 Presented by Minai.