R.I.P. 天使は鏡と弾丸を抱く (このライトノベルがすごい!文庫) [感想]
第2回「このライトノベルがすごい!」大賞 優秀賞受賞作
不思議な力を持つフィリップ・リーダスは、何故かマフィアに追われている少女アンジェリーナ・レインに出会う。成り行きで助けてしまったものの、面倒事はごめんとばかりに縁をシャットアウトしようとするのだが――。アメリカの裏社会を舞台に、硝煙とコーヒーの匂いが漂う物語。
ハードボイルド。
マフィアと殺し合いをすることになるので、ジャンルとしてはハードボイルドになるのでしょうが、銃撃戦の描写は淡白ですし、全体を通してみても読み心地はあっさりしています。
そもそも主人公のフィリップからして感情の起伏が少なく、基本は面倒くさがり。でも、助けた手前放っておけないというお節介な面もある。最初は文句ばかりでアンジェリーナに興味がなかったのに、読み進めるごとに心を動かされるフィリップがいる。
また、アンジェリーナの境遇も不幸ではあるので、フィリップと出合った事は救いであり、これまた読み進めるごとにフィリップに対しての印象が変わっていく。そういう意味ではハートフルな部分も垣間見えた。
語り口が独特。
フィリップが書いている小説が物語として語られていくので、主人公の立ち位置が特殊。神の視点を持っている主人公。作中に流れる雰囲気も、緩やかで穏やかな川のように、血生臭い描写があるのにそれを感じさせない。加えて、台詞の言い回しが特徴的で面白い。
この手の作品は好きだな。読後感は良い意味でライトノベルらしくなく、余韻の残り方が美しい。受賞作の中では一番かもしれません。面白かった。
Presented by Minai.

R.I.P. 天使は鏡と弾丸を抱く (このライトノベルがすごい!文庫)
- 作者: 深沢仁,前田浩孝
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2011/10/08
- メディア: 文庫
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