図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫) [感想]
表現を取り締まる法律「メディア良化法」が成立し、公序良俗に反する表現には更なる規制がかけられた世界。それに対抗すべく図書館法――通称「図書館の自由法」も成立し、表現の自由を守るために図書館は武装した。検閲と戦う図書館を描く。
猪突猛な郁が読んでいて気持ち良い。完全に後先考えず感覚で動く人間なのだけれど、だからこそ人間らしくて共感してしまう。内に溜めないで思ったことは口にするその性格はじつに清々しい。だからこそ、教官にドロップキックをお見舞いできたのでしょう。
郁は昔読みたい本が検閲されて目の前で奪われそうになった経験があり、そこを助けてくれた図書隊の人にあこがれて司書になることを決意したのだけれど、その言い分が何とも恥ずかしい。郁らしくて好きだけれども、いや恥ずかしい。
他にも登場人物たちは全員魅力的です。不器用な男二人に、頭が切れる友人に、豪快な上司に、物腰柔らかな上司と個性的でもあり、キャラクターが動くのが読んでいて楽しい。明らかにやり過ぎで過激な「メディア良化法」の不条理さに呆れつつ、それをひっくり返していく図書隊の面々に拍手を送りながら読みましょう。実に痛快。
コメディタッチに明るく描く物語は、楽しく軽く読めてしまえる。けれども、読み終わったときに作品の言いたかったことは伝わるのではないかな。面白かった。
Presented by Minai.
- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/09/08
- メディア: 文庫
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