Infinity recollection

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羽月莉音の帝国 9 (ガガガ文庫) [感想]

羽月莉音の帝国 9 (ガガガ文庫)

 

革命編。

 

世界の頂点に君臨する面々から、直々にメンバーに誘われた莉音に巳継たち革命部だったが、当然のように誘いを断るのは凄い。ここでメンバーに加われば、巨万の富を未来永劫手に出来るも同義だし、世界をコントロールする側に回れる。

 

けれど、革命部が目指しているのは、あくまで”革命”。文字通り世界を敵に回してでも、現代社会を破壊し尽くして新たな時代を切り開くことにある。一直線に建国へ向っていける力は熱い。読んでいてついに来るところまで来たなという心境で、序盤からして充足感に溢れていた。

 

新市場KKネクストを使って利益を抜きながら、世界経済を空前のバブルに仕立て上げていく様は美しいの一言。誰もがバブルと分かっていながらも、投資してしまう。信用という実態を持たない魔力に吸い寄せられるように金を増やし、増やした金でまた金を増やそうとする。崩壊の足音が聞こえているのに、熱狂しすぎた人々はそれに気付かない。あるいは気付いていないふりをしている。正気に戻ったときにはもう遅い。

 

崩壊と創造。

 

崩壊と時を同じくして、東京湾に浮かぶ孤島で建国宣言をするわけだけれど、当たり前だがアメリカ、イギリスなど列強国は認めない。認められるわけがない。数日前までは恒太を絶賛していたメディアが、手のひらを返したように批判の嵐。恒太にお熱だった民衆までも、恥ずかしくないのかという綺麗な手のひら返し。いや、怖い。

 

怖いといえば、アメリカの怖さをまざまざと見せ付けられるのもここだ。建国宣言の数日後、CIAの調査発表が嘘八百もいいところで、恒太が大量虐殺のテロリストになっているのだ。正義と自由という言葉が如何に薄いのかが分かる。

 

怒涛の勢いで最終頁へ――。

 

世界各国が革命部に対して戦線布告してくるのには度肝を抜かれる。当然の対応だけれど、いざやられると圧力とスケールが半端ではない。本来なら、戦線布告される前に問答無用で斬り捨てられてもおかしくはないが、核兵器の威力とはいやはや強大すぎる。真っ向から世界と開戦しようというのだから流石は莉音。

 

面白かった。次が最終巻なので、楽しみに待ってます。

 

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