Infinity recollection

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Tとパンツとイイ話 (MF文庫J) [感想]

Tとパンツとイイ話 (MF文庫J)

 

第7回MF文庫Jライトノベル新人賞 優秀賞受賞作

 

朝起きたら、抱き枕と頭が融合していた。取ろうにも枕まで神経が通っているらしく、無理に取ることは出来ない。仕方なく奇抜な髪型ということで押し通して学校に登校しようとするが、幼馴染や親友に触れたら彼らとまで融合してしまった。

 

笑わせてもらった。見た目はどう見ても「T」で、挿絵の効果と相まって髪の毛が生えるのを想像して笑ってしまった。どうやったら奇抜な髪型で押し通せると思ったのか、主人公の感性が面白すぎる。

 

この感性の微妙なズレみたいなものは、物語を通して存在していて、それも主人公だけではないから思わぬところで笑ってしまう。恐らく、このズレの波長が合わない場合には面白くもなんともないのだろうけれど、幸運にも合ってしまったから楽しく読めた。

 

実のところ、タイトルから予想するほど物語はギャグ一辺倒ではない。核となっていく部分は、思念糸という力が関係する異能モノとなっている。コミカルとシリアスのバランスが微妙なところで保たれているので、読んでいてよく破綻しないものだと感心する。

 

また、展開としてもシリアスなのにコミカルが混ぜられたり、バカっぽいことを真面目にやるから凄い――かと思ったら真面目じゃない。そんな不規則である意味読めない流れ、軽いテンポで進む話には退屈しない。

 

登場人物も個性的な奴らばかりで、ボケの嵐に主人公の突っ込みは映える。よくよく周りを見渡してみると序盤にまともな人だと思った人が、中盤になってまともじゃなかったと気付かされるので、いつの間にやら迷宮に迷い込んでいた気分。

 

特に変態紳士の親友は強烈。どうしてパンツであそこまで騒げるのか。いや周りもそうで、最後は何だか真面目な映画っぽい演出になっているのだから笑える。

 

楽しませてもらった。面白かった。

 

 Presented by Minai.

Tとパンツとイイ話 (MF文庫J)

Tとパンツとイイ話 (MF文庫J)