ブラック・ブレット〈2〉vs神算鬼謀の狙撃兵 (電撃文庫) [感想]
容赦ない。主人公は常に命を懸けて全力で戦いますし、少女たちは血まみれになりながら戦います。作品の持つ硬質な雰囲気を壊さないように、光と闇を丁寧に描いてくれているので好感が持てる。
四賢人。
ここまで、ガストレアと人類の生き残り戦争を蓮太郎を通して見てきたわけだけれど、少し視点を変えて、現在日本が置かれている状況と、世界の狂ったバランスなど、イニシエーターとプロモーターという枠だけではなくて世界観を読ませてくれた。
特に、機械化兵士はワクワクする要素だった。四賢人と呼ばれる天才たちが狂気の果てに作り出した力。それぞれ天才たちの破綻した性格を受け継ぐように能力も異なっているようなので、どんな奴が現れるのか今から楽しみだ。
今回登場するティナも狂気に当てられた一人で。呪われた子供たちでありながら、機械化兵士でもある彼女は、その境遇を想像するだけで悲しいですし、それを考えると蓮太郎とのふれあいが彼女に与えた影響は計り知れないのでしょう。
酷い命令をぶつけられて、頷く彼女が、蓮太郎と出合ったことで優しさに触れる。たこ焼きを食べるやり取りは何と微笑ましいことか。ティナの可愛らしさが際立っていて、終盤の壮絶さとのギャップが凄い。
お互いに敵が誰なのか分からない中で、蓮太郎とティナは自分の仕事をするわけだが、お互いに正体を知って相手を倒さなければならない展開は、典型ながら来るものがある。傷つけて、傷つく。そういう意味で容赦ないなと、最後までどう転ぶか転ばせるかハラハラした。
また、人間の醜悪さもしっかりと描いてくれているのは嬉しい。人間という存在を置き換えて考えたり、そのまま冒頭にもあった呪われた子供たちへの差別から思うことだったり、人間が余程に化物じみて映る。
面白かった。シリーズが続くごとに益々面白くなってきている。
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- 作者: 神崎紫電,鵜飼沙樹
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/10/08
- メディア: 文庫
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