覇道鋼鉄テッカイオー (集英社スーパーダッシュ文庫) [感想]
第10回SD小説新人賞 大賞受賞作
心身を極限まで鍛えることで、兵器をも超えた力を持つ存在・武侠。主人公カザンは武侠の中でも極限られた、一生童貞を貫くことを誓った者しか操ることの出来ない『童子神功』の使い手。そんな彼が、相棒のルゥランとともに海賊から一人の姫君を助けたことで、銀河を巻き込む武侠同士の戦いが始まる。
男の子の夢と希望が詰まっていた。
あらすじはアホなことが書いてあるが、作品としてはエンターテインメント重視のスーパーロボットスペースオペラとなっていて、非常に好みの作品に仕上がっていた。童貞童貞という割りに、主人公が童貞であることは一つのギミックであって、前面に出てはいるものの個人的には煩わしいという印象ではない。
何よりやっていることがわかりやすい。少年漫画、特撮、一種には90年代のロボットアニメを彷彿とさせるようなバトルシーンでの演出が熱い。男心をくすぐる単語が満載で、読んでいるだけでワクワクさせてくれる。
また、世界観が魅力的であることも重要で、銀河や国家、組織と丁寧に作りこんであることが嬉しい。それは覇道鋼鉄と邪道鋼鉄といったインパクトのある超兵器から、反物質兵器やワープ航法といった細かい時代設定を反映したSFまで、気を配ってくれている。
読んでいて物語の世界が気になってしまうし、気にさせるくらいに深さを感じる。
そしてキャラクターがまた面白い。台詞回しからまさに90年代を感じさせて懐かしさがこみ上げてくるばかりか、味方はとことん格好良く描き、ときに笑いを誘い、敵は極悪に気持ち悪く、そして悪という格好良さを見せ付ける。どいつもこいつも凄い個性だ。それぞれの役割を全うするが如く全力なのが伝わってくる。ルゥランの異常なエロさにもご注目。
必殺技を二人して叫ぶ場面が格好良かった……。墓地に閉じ込められた場面も良かった……、姫様を通してお互いの気持ちが――いちゃいちゃらぶらぶ――もう、お前ら結婚しちゃえよ、恥ずかしいな、もう。
読んでも読んでもページ数が減らない、良くいえば読み応えのある、悪くいえば説明過多という壁はあるものの、難しいことを考えずに楽しませることに特化した作品でした。面白かった。
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覇道鋼鉄テッカイオー (覇道鋼鉄テッカイオーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 八針来夏,Bou
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/11/25
- メディア: 文庫
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