生徒会探偵キリカ1 (講談社ラノベ文庫) [感想]
主人公が入学したのは全校生徒8000人という白樹台学園。外部受験したのに学校については何も知らなかった主人公は、学園で絶大な権力を持つ生徒会に目を付けられ、庶務という役職を与えられてしまう。個性的な生徒会の面々に振り回されながら、学内で起こる様々な出来事を解決していく。
――生徒会予算8億円。
何といっても強烈だったのはその規模だろうか。ちょっとした会社の利益を、3人の生徒会役員が運営しているのだから凄い。生徒会長は豪快だし、副会長は清楚な腹黒お嬢様で、会計は無口な女の子。個性的なキャラクターがまた魅力。
物語はそんな会計であるキリカを探偵として、お金にまつわる出来事を解決していくことになる。優秀すぎるキリカは直ぐに犯人を突き止めてしまうわけだけれども、大切なのはその出来事の背景で、背景をしっかりと描いてくれるから面白い。
ここで生きてくるのが主人公の存在。キリカのように単刀直入に答えを出すのではなくて、答えを出す前、出した後でのフォローを主人公がすることになる。探偵は事件を解くが、解決したことで起こるであろう弊害を取り除いたり、上手い方向に誘導する。ベクトルが違うからこそ、良いコンビでした。
また、コメディ色を強くして、ミステリーとは言えども学園生活を読ませてくれるのは作品の魅力だろう。探偵ものはどうしてもシリアスを想像しがちだが、これは少し違う。読んだ後に心に残る話あり、コメディ展開あり、ラブコメあり、著者の作品に特徴的な外野ありと要所で楽しませてくれる。
こんな学園だったら、きっと退屈しない。
――しかし、副会長の猛烈アタックはどこまでが本気なのか読んでいて分からない。主人公が鈍感だというのは伝わってくるのだけれども、副会長はつかみきれない。好意を寄せている発言に仕草をするけれど、主人公の姉のことになると目の色が変わるし……、ラブなのか策でしかないのか。
キリカと主人公の関係が今後どうなっていくのか。ヒカゲとヒナタの姉弟関係にも、一方的にぎこちなくなっていたものが少しは解消されて、どのように絡んでくるのか非常に気になる。
面白かった。
Presented by Minai.
- 作者: 杉井光,ぽんかん(8)
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/12/02
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 208回
- この商品を含むブログ (53件) を見る