Infinity recollection

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魔法使いなら味噌を喰え! (講談社ラノベ文庫) [感想]

魔法使いなら味噌を喰え! (講談社ラノベ文庫)

 

第1回講談社ラノベ文庫新人賞 大賞受賞作品

 

魔法の存在が明らかになって100年。人類は科学と共に、科学を凌駕する力として魔法を活用していった。しかし、魔法抑止物質「MISO」――the Material of an Impedimentto the Sorcerer’s Ordersが発見されたことで、魔法は絶大な力ではなく一つの技術として扱われることに。主人公の八丁屋将太は魔法を学ぶ高校生、ある日、朝食に味噌汁をすすっていると突如として女の子が乱入してきた。その女の子は魔法発祥の地・マジエールのお姫様で――。

 

味噌ってどういうことだ……。タイトルから誰もが驚くとは思うのだけれど、物語が描いているものはいたって王道で丁寧。MISOという奇抜な設定はあるが、文章はとても読みやすいですし、読み始めから読み終りまで安定した面白さ。最後の纏め方も綺麗で、非常に好感が持てる。

 

そういう意味で完成度がとても高い。

 

飛びぬけたものはないのだけれど、読んでいて新人とは思えない安定感を印象付けられました。ただ、その分だけキャラクターは弱い。文章が美しく安定しているので、キャラクターも枠に収まっていて飛びぬけてはいない。もちろんヒロインは可愛らしいし、友達なども楽しいのだけれど、特別大好きかと言われるとそこまでではないかも。

 

コミカル調な作品なので、明るいさと楽しさを前面に出しているのは良いですね。作中でアルテミシアが秋葉原に行って来た話をするわけだけれど、主人公と秋葉原に行ったわけではなく、秋葉原が描写がされているわけでもないのに、アルの台詞や興奮具合から、どれだけ楽しんできたのかが想像できてしまう。

 

他にもアルの感情が変化していく場面は多いので、彼女の行動を読んでいると自然と楽しい気分になります。魔法とMISOも難しい設定ではないので、奇抜さよりもその辺りを気にしている人も安心して読める。

 

面白かった。

 

 Presented by Minai.

魔法使いなら味噌を喰え! (講談社ラノベ文庫)

魔法使いなら味噌を喰え! (講談社ラノベ文庫)