Infinity recollection

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アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫) [感想]

アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)

 

第15回電撃小説大賞 大賞受賞作

 

仮想世界が現実に普及した近未来。脳をネットに繋ぐ「ニューロリンカー」は生活に欠かせないものになっていた。主人公は太っていることや後ろ向きな自分にコンプレックスを抱える少年、ハルユキ。いじめられっこのハルユキは、イジメの鬱憤をゲームにぶつけていたのだが、ある日、黒雪姫と呼ばれる学園みんなの憧れである先輩に声をかけられる。

 

<加速>したくはないか、少年。

 

世界観に引き込まれました。その時代の常識を違和感無く読ませてくれるのは上手いですし、直結含めてそれら常識で自然とラブコメなどの分かりやすい展開にもっていく流れが美しい。気持ちよく受け入れられるから、物語が面白いことも相まって読んでいて快感。思わず感心してしまう。

 

また、ハルユキを未知の世界へ案内してくれる黒雪姫が可愛い。道先案内人として一切無駄のない役割を演じていたのもそうだけれど、仕草や台詞からキャラクターとしてとても魅力的。

 

美人な先輩と仲良く出来るなどありえないと考えているが故に戸惑うハルユキと、周りの視線を気にせず引っ張る黒雪姫の姿がもうシチュエーションとして楽しいですし、ときに嫉妬してしまう黒雪姫のギャップにやられる。

 

――バースト・リンク!

 

ハルユキは黒雪姫に「BRAIN BURST」というアプリをインストールされたことで<加速世界>へと関わることになる。「BRAIN BURST」は、使用者の意識を1000倍に加速することにより、バースト・リンクしている間は体感時間30分が現実での1.8秒に加速する。

 

身体を動かすことは出来ないが、思考することは出来るので、この力があれば現実世界で様々なことが有利になる。しかし、このバースト・リンクを使うにはポイントが必要で、そのポイントは同じく「BRAIN BURST」をインストールされた者から奪うしかない。

 

バーストリンカーたちは<加速>しつづける為に<加速世界>で戦う。格闘ゲームのシステムでのバトルは分かりやすいですし、熱い。加えて、色によって特性やらレギオンに分かれているのは心をくすぐってくる要素だ。そんな情報の出し方も計算れているので、上手いなと。

 

終盤、黒雪姫がハルユキを<加速世界>へ導いた理由が語られるが、彼女がゲームの世界でやりたいことが見えてくることでハルユキの目標が固まりますし、立ち上がって前を向いて戦うようになる。キャラクターの成長が読めるのもいいですね。

 

面白かった。世界観と設定に引き込まれたし、キャラクターも魅力的。満足しました。続きも読んで行きたいと思います。

 

 Presented by Minai.