Infinity recollection

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サクラダリセット7 BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA (角川スニーカー文庫) [感想]

サクラダリセット7  BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA (角川スニーカー文庫)

 

サクラダリセットという作品が読めてよかった。

 

物語を改めて眺めてみると、無駄な要素がない。この完成度は何なのだろう。サクラダの能力一つを取ってもそうであるし、キャラクターにもいらない人間はいない。絶妙なバランスで繊細に作られているから、読んでいて心地良いし美しい。

 

未来を見続けたケイの勝ちといっていいのだろう。一人だけ強度が高い能力をもっているケイ。しかしその能力が記憶を忘れない能力とは、この最終巻では残酷だった。周囲が忘れていることをケイだけが覚えている。心が折れてもおかしくない状況で、諦めなかったケイは格好良い。

 

独白や台詞から感情が見えてこないケイではあるが、ここで描かれるケイは静かだけれど熱かった。

 

相麻菫の行動は切ないの一言に尽きるだろうか。求めても手の届かないところにあることが分かっている。それも未来予知で予め分かっているのにも関わらず、求めることをしたかった。自分を殺してでも、ケイを傷つけても、ケイの為に。

 

彼女が泣きたくなる気持ちも分かってしまう。もどかしい恋焦がれる菫が心に痛い。

 

どこまでも透き通った物語で、文字が吸い込まれるように流れていった。サクラダに住む大人と、大人になる者たちの感情がぶつかり合って、何とも人間臭くも泥臭い。しかし、きれいで透明な青春でした。面白かった。

 

 Presented by Minai.