Infinity recollection

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ベイビー、グッドモーニング (角川スニーカー文庫) [感想]

ベイビー、グッドモーニング (角川スニーカー文庫)

 

死期が近づいた人間の前に現れる死神の少女。魂を集めていると語る少女は、本来ならその時刻に死んでいた人間に、僅かな時間を与えて魂をきれいにしようとする。

 

実に切ない。死ぬ人間に時間を与えて、後悔をなくさせてあげる。けれど、決して寿命が延びるということはない。確実に伸ばされた命を消費したら死ぬ。死ぬことが確定している物語だ。それでも、自分の運命を受け止めて悔いのない人生にしようとする登場人物たちの生き様がいい。

 

特に好きだったのは一番最初のお話だろうか。病気になったことで満足に学校に行けなくなった少年と、小学校からずっと友達の少女の話。

 

彼女より早く死んでしまう少年の苦悩が心に響きます。いつの間に、これだけの差がついてしまったのか、彼女は何もかもを持っていて、自分は持ってない。嫉妬にも似た感情を抱える少年。けれども、そんな心情も彼女には分かってしまう。

 

ましてや、彼女側にしたら一番欲しいものは手に入らないのだから切ない。切な過ぎる。死神のおかげで、最後まで彼女に優しい嘘をつき続けた少年に、素直になれた少年に、頑張ったと言いたい。

 

面白かった。

 

 Presented by Minai.