Infinity recollection

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銀の十字架とドラキュリア (富士見ファンタジア文庫) [感想]

銀の十字架とドラキュリア (富士見ファンタジア文庫)

 

吸血鬼であるルシュラが魅力的。

 

主人公である緋水の前に突如としてやってきて、下僕にすると言い張る。尊大な性格は如何にも吸血鬼らしいのだけれど、肝心の緋水には吸血鬼のあらゆる能力が効かない。もちろん、吸血しても眷属にすることは出来ないし、魔眼で魅了することも出来ない。

 

物語は緋水の特性を上手く盛り込んだ展開となっているけれど――その前に、どうにかして緋水を眷属にしようと頑張るルシュラの姿が可愛らしい。尊大なのに、時折見せる淑やかな仕草だとか、顔を真っ赤にして恥ずかしがる部分など、自然と緋水のことを嫌いではないことが伝わってくるのが良い。

 

ラブコメよりはエロコメに近いかもしれないハーレム展開と、過激な言動が飛び出すけれども、主人公の特性と性格が合わさったときにバランスが良いので、それだけで終わらない。ラブコメで主人公が面白いと、それだけで読めてしまえます。

 

物語に合った主人公の性格。やる気がないように見えて、油断せずにやることやる用意周到さ。相手を適当にあしらいながらも、放っておけない面倒見の良さ。受けにも突っ込みにも動かせるキャラクターなので、読んでいてストレスがない。嫌味がないのです。

 

吸血鬼が登場してその他怪物がいるラブコメというと、どうしても展開が単調になりがちなのだけれど、本作はその辺りを丁寧にまとめた印象。影の薄くなるヒロインや、少し雑な展開はあるものの、読んでいて面白いし楽しい。

 

気付くと、ルシュラと緋水のラブコメ展開を期待してしまう読み手がいた。終始ニヤニヤと読ませて頂きました。

 

 Presented by Minai.