Infinity recollection

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大日本サムライガール 2 (星海社FICTIONS) [感想]

大日本サムライガール 2 (星海社FICTIONS)

 

てっきり上下巻だと思っていたが、そうではなかったようだ。途中まで読んでこの速度だと終われないぞ、と気付きました。今回も楽しませてもらいましたが、物語は政治から経済の方向へと流れていくので少し物足りなかったかなと。

 

けれども、これがシリーズ作品であることを考えると、しょうがない言えばしょうがない気がします。早い話が、日鞠が政治家になるには選挙に勝たなければいけないわけで、選挙をするにはお金が必要なわけで、どこから調達するのか、または日鞠が立候補できる年齢までどうやって物語を加速させるのか考えると、どこかで舵を切らないといけない。

 

単純にどうやって選挙に出させるのだろうというのが疑問だった。府知事になった方の前例でいったら、一旦は大派閥の政党の政治家として出馬して、後に脱退するというのがあるが、この方法だと日鞠の信念に反するので使えない。なら、自力で立候補して選挙するしかない。だからお金を集める必要があるし、コネクションも大切だ。そういうことをまとめて得られるようにする地盤を固めたのが二巻かなと。

 

守銭奴アイドル誕生。

 

さて、長くなっていますので、中身の話を手早く――新キャラクターの千歳が強烈で良い。お金何としても集めないといけないと言い張る千歳は、ドジっ子です。何をやらせても人一倍の時間がかかるし、失敗も多い。けれど、一生懸命で頑張り屋。そんな彼女を見ていると和む。

 

主人公も千歳という女の子が分かっていくと、彼女への印象と考え方が変化していくので、そこは読んでいて面白かった。また、大人と子供の関係性が非常に面白い作品なのだなと二巻で気付いた。というのが、千歳との言動では大人である主人公が、父親の前ではいつまでたっても子供でしかない。主人公以外も、状況によってそれぞれのキャラクターの見え方が変わるのは読んでいて興味深かった。

 

それらは成長物語の形になっているからかもしれないし、個人的にそう読めただけかもしれないのですが。何にしても面白かったです。少し残念なのは物語が鈍化したことと、経済方向に流れたことでしょうが、それも今後への布石だと思えば楽しみな要因になります。

 

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大日本サムライガール 2 (星海社FICTIONS)

大日本サムライガール 2 (星海社FICTIONS)