楽聖少女2 (電撃文庫) [感想]
二百年前のウィーンへとやってきて、ゲーテとして生きていくこととなった主人公ユキ。その時代では何故だかベートーヴェンが女の子になっていて――音楽史を紐解きながらユキとルドヴィカの成長を描いていく本作。
フランス軍の進攻が迫るウィーンで逃げようともせずに音楽を作り続けるルゥが印象的。ピアノが今よりも音階が少なく製造されていた中で、演奏できない曲を作りピアノをアップグレードさせてしまうというエピソードを上手く使って物語が構成してありました。
性別は女の子であるし、性格もわがままで生活力ゼロだけれど、妥協しないところはベートーヴェンもそうだったのかもしれないなと思わされる。演奏できない曲を作ってしまうというのはそれをよく表しているのではないだろうか。
そんなルゥを何だかんだで世話してあげるユキ。時たま格好良い台詞を口にするので、その度にルゥの顔は真っ赤になる。実に可愛らしい。加えて、猫と比較されるルゥと、現代のピアノは鍵盤が白黒の猫で出来ているという勘違いをする姿が可愛い。可愛いから癒される。
また、悪魔たちの思惑というのか、何故ゲーテがユキを呼んだりしたのか。解決できる糸口にも触れられるので、そこでも進展がありました。ナポレオンの話などは読んでいて興味深かったですし、音楽家と革命家など、何か才をもった人間が出てきて全員が悩んでいるという構図も面白い。
これからどうなるか、楽しみです。
Presented by Minai.
- 作者: 杉井光,岸田メル
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2012/09/07
- メディア: 文庫
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