蒼柩のラピスラズリ (MF文庫J) [感想]
抜群の安定感。
文章が実に安定している。相変わらず、著者の持ち味とも言うべき主人公の独白は健在で、独特の間合いから放たれる台詞が面白い。物語のテンポにしても、緩急のバランスが絶妙。会話劇が繰り広げられたと思ったらシリアスに入り、またその逆もある。
主人公の台詞もそうだけれど、キャラクターの魅力的を存分に引き出しているのが素晴らしい。というのも、登場するヒロインたちが立ち位置の説明だけで終わっていないのが上手いです。もちろん3人ともキャラクターの説明は入るわけだけれど、全員が初っ端から主人公ラブなので、キャラの性格や背景も合わせてそこからどんな展開に持っていきたいのか期待させる描き方をしている。
だから、キャラクターがより魅力的に映りますし、一巻とは思えないほどキャラクターが近くに感じられる。
また、魔女の残した九十九個の魔具を回収するという壮大な設定を仕掛けているが、その実上手い具合に調整できているように、出来るように見受けられる。話の軸を折らずにラブコメ回にも自然と移行出来そうですし、全てにおいて安心して読める。
物語としてはオーソドックスをいっているけれど、けして裏切らない面白い作品だ。
Presented by Minai.
- 作者: あさのハジメ,菊池政治
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2012/09/22
- メディア: 文庫
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