マグダラで眠れII (電撃文庫) [感想]
錬金術師クースラと修道女フェネシスのマグダラを目指す物語。
戦争が起こると技術が発展するのは昔から、新しい技術を探求するのなら戦争の最前線を目指すのが早い。錬金術にしてもそれは同じで、戦争中は異端も許される。逆を言えば、最前線でないなら異端は裁かれる。
作中ではその最前線にいち早く入植したいクースラたちが、早期入植者に選ばれるために、短期間で騎士団に恩を売る方法を考えていくことになるのだけれど、その中でフェネシスの成長を描いている。
とにかくクースラとフェネシスの関係が微笑ましい。
天邪鬼の嘘つきであるクースラはことあるごとにフェネシスに意地悪をする。本人としては意図があり、彼女にとって何が大事で何がしたいのか気付いて欲しいという思いがある。出来ればそれを手助けしたいとも思っているけれど、それが口から出ることはない。
掴めないクースラに対して、戸惑うフェネシス。顔を赤らめるフェネシスが可愛らしいですし、分かった上で格好良い台詞をいってフェネシスの表情の変化を楽しむクースラという構図があり、その上でときたま見せるクースラの嫉妬が面白い。読んでいて顔の筋肉がゆるゆるになります。
錬金術を通じてお互いを感じる。
今回も目的のためには手段を選ばないという無慈悲で傲慢な錬金術師の姿を垣間見ましたが、徐々にフェネシスの考えや力が加わっていくところが良いですね。力を合わせる、ではないのだけれどクースラもまた変わっていけれるのではないかな。
面白かった。続きも期待しています。
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