大日本サムライガール 3 (星海社FICTIONS) [感想]
なのである。
凪紗が表紙に登場していることから分かるように、彼女が本格的に物語に絡んでくることで大きな動きが起こる。日毬が成長していく姿を描くほうがやはり面白い。つまらないわけではないが、千歳が主役だった前巻は今回の布石となっていることが見て取れる。
メディア戦略とマーケティング。
政治とはテレビである。日夜テレビをただただ垂れ流し、流し見するだけの大多数の視聴者。テレビの言っていることが真実だと錯覚し、論理的思考を放棄した人々、いわゆる低IQ層をいかに取り込むかが政権を奪取する近道なのだ。過去の小泉政権がそうであったように、メディア戦略とは重要なウェイトを占める。
それらはマーケティングでも同じなのだ、というのが今回のテーマだろうか。
いかに違和感なく、あたかも自ら進んで選択したかのように見せかけて買わせる。人は何故、行列に並ぶのか。確かに半額という文字は魅力的だが、冷静に考えて1、2時間並んで買う価値がその商品にはあるのか。1時間あればアルバイトでも1000円は稼げてしまうのに――。
用意周到に外堀を生めていき、長い期間をかけて広告を仕掛けていく様には興奮させられたし面白い。手を抜いてはいけないけれど、やり過ぎてもいけない。目先の利益だけに執着することを捨て、長期的視点でビジネスをやる。日毬のファッションブランドがブランドとして人々に認知されていく、その加速度的破壊力は文字にしても伝わってくるので、思わず鳥肌が立つほど。
作中で出てくる某俳優と某出版社の件などを入れ込んでくる辺りは流石だし、社会の流れ的に不自然な商品やサービス、何故押すのか不思議なものなどは誰しも想起できるだろうから、読んでいて楽しいです。某国のドラマとかね。
何にしても、徐々に政界入りの土台が出来上がってきているので、今後が実に楽しみというもの。期待しています。
――さて、それにしても集まってくる人材の有能さが半端ではない。少数精鋭で数十億稼ぐのだからたいしたもの。そう考えると益々千歳がネタキャラに……いや、ここは伏線であったようにアニメ系で売り出していけば面白いことになりそうなのだが。
Presented by Minai.
大日本サムライガール 1-3巻セット (星海社FICTIONS)
- 作者: 至道流星
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/10/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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