ラストセイバー 救世の後継 (電撃文庫) [感想]
世界観の作り込みは流石。
2015年から2140年にタイムスリップした主人公が、未来世界の脅威と戦う話。あとがきでも書かれているように、2012年現在から考えて、ありそうなラインで未来が描かれているので、読んでいて素直に胸へ落ちていく。
コンピュータ限界問題から量子コンピュータ、そこから更に発想を膨らませて、新人類と旧人類の争い――第三次世界大戦。ヒエラルキーが崩壊し、人間が頂点に君臨していた世界は衰退している。そんなSFな設定だけれど、パワードスーツ的なツールが登場することでロボットバトルの雰囲気がありますし、過去からやってきた人間には異能力が備わっていることで何ともファンタジックな世界観になっている。
設定のバランス感覚には素晴らしいものがある。
ついその世界観に浸っていたいと思わせてくれるのが著者なので、始まったばかりで説明は極力抑えているように見受けられましたし、今後どのようなことをやってくれるのか楽しみになる。
しかしながら、登場人物の言動には残念さも目立つ。主人公などは冷静で好感が持てるので、物語としては嫌悪感なく読めるのだけれど、脇役やら適役の言動がどうにも納得できない。特に適役が騒がしい。ヒロインがオタク文化云々で伏線を張っているのは楽しいですけれどね。
面白かった。著者の作風は好きですので、前シリーズ以上は続いて欲しい。
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- 作者: 兎月山羊,荻pote
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2012/11/09
- メディア: 文庫
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