Infinity recollection

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白銀の救世機 (MF文庫J) [感想]

白銀の救世機 (MF文庫J)

 

第8回MF文庫Jライトノベル新人賞 最優秀賞受賞作

 

良く出来ている。荒削りではありますが、最優秀賞を受賞するだけのことはあります。世界が荒廃しており、新人類が地球で細々と暮らしている。雪で閉ざされた未来の世界。そんな世界観を違和感なく読ませてくれる文章力がありました。

 

こういっては語弊があるかもしれませんが、レーベル的にロボットアクションが最優秀賞を受賞するとは思わなかった。ラブコメの印象が強いので、他ジャンルを模索しているのは前々からありましたが、そこでロボットとは……。

 

でも、それに見合うだけの丁寧に練りこまれた物語だというのは読み取れたので納得です。世界観、物語の構成、何より良く出来たロボットの設定と、それを活かしていくキャラクター。人間と新人類の違いが面白みにつながっている。

 

アルツの言動には悪意がありませんから、突拍子もない行動と恥ずかしい台詞を受けて素直に笑える。突っ込みを入れるナユキとのコンビネーションも素晴らしいです。天然で言っているから本人はあくまで自然体。恥ずかしがっているのはナユキだけ、そんな非常識が常識で逆転している構図が面白い。妹もめっちゃ可愛らしいですからね。ラブコメという意味でも楽しめる予感がします。

 

ただ、中盤からは視点移動に荒さが目立ち、状況を把握するのが困難になったり、読んでいて小首を傾げることしばしば……。一巻でまとめるために、頑張って詰め込んだのでしょうが、残念な部分です。

 

折角のボス戦も、感動と快感が半分になってしまう。

 

 Presented by Minai.

白銀の救世機 (MF文庫J)

白銀の救世機 (MF文庫J)