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アリス・リローデッド ハロー、ミスター・マグナム (電撃文庫) [感想]

アリス・リローデッド ハロー、ミスター・マグナム (電撃文庫)

 

第19回電撃小説大賞 大賞受賞作

 

コレは良いものだ。硝煙の匂い漂う、荒れた荒野での西部劇。丁寧に描かれていくガンアクションは見物ですし、魔法の要素が違和感なく組み込まれているのも演出を盛り上げる。読んで絵が浮かぶというのも、とても魅力的に映るし、作品の世界がとても輝いて見えた。

 

台詞回しが最大の魅力。

 

基本的に魔除拳銃であるところのミスター・マグナムの一人称で物語が進んでいく。主人公は拳銃だというのは、少し特殊だろうか。けれども、彼の口から飛び出す台詞の数々は、正義感溢れる叱咤、知性を感じさせる言い回し、口汚いスラングまで、全てが展開に花を添える。

 

これを受けるキャラクターも個性的であるし、ミスター・マグナムから彼ら彼女らを紹介されることで、また魅力的に映る。特にアリスなどはそうで、アホアホと言われるほどお人よしの考えなしの直感少女なのだけれど、だからこそ時たま見せる神がかり的な技の冴が際立つ。

 

この二人の見事な(不毛な?)言い争いは読みどころですし、アホアリスにあてられるミスターの変化は美しい。――そんな日常パートから世界を救うためにギアを入れ替えるガンアクション。魔法を駆使した戦いは読み手に何ともいえないワクワク感をもたらしてくれる。脇役たちもスペック高く、ミスターの求めることに答えてくれるのは、エンターテインメントに爽快で痛快でした。

 

また、本作にはSF的な要素もあるのだけれど、そこは主題ではない。正直、その部分はミスターとホークアイに置いていかれてしまうので面白くはないのですが。歴史改変するんだ、違う未来へ、と願う二人の想いは大切で熱いですから、これはアリかなと。

 

復讐者のライトニング・ワイルドと、アホのライトニング・ワイルド。最終的に、だからこそたどり着けた魔女ゾォードとの決戦は感慨深いですね。いいなー、好きですこういう作品。

 

 Presented by Minai.

アリス・リローデッド ハロー、ミスター・マグナム (電撃文庫)

アリス・リローデッド ハロー、ミスター・マグナム (電撃文庫)