クロス×レガリア 海神の遺産 (角川スニーカー文庫) [感想]
宝の地図を見つけた馳郎たちと生徒会の面々が、夏休みに海へ旅行に出かけるという、キャッキャウフフな可憐な水着と女の子たちの眩しい笑顔が炸裂することうけあいな和やかな話になるかと思いきや――いや、事実和やかではあるのだが。
クロス×レガリアオールスターズ。
まさかオールスター戦になるとは、予想できなかった……、というか夏休みで海で旅行だから繋ぎの話になるだけで、熱さとかワクワク感とは皆無だと思っていたので、バトルやアクションは盛り上がらないと油断していた。
これは面白い。そもそも構成が美しいですし、悩むということがキーワードになっているのも熱さを演出させる。馳郎が自分とカエアンとの関係に悩んでいるのもそうですし、リコが馳郎と関係、鬼宝との距離に悩むのもそうで、蓮花が馳郎への恋心で悩むのもそうだ。
どこかで成長していく物語に仕上がっている。
だから登場人物たちのちょっとした仕草に意識がいくし、言葉にも意味が出てくる。もちろん、確かに伏線を張る話でもあるから、情報の小出しも忘れてはいないばかりか、それを上手く組み込んでいる。あからさまに伏線を投げていくだけで終わらないのが上手いなと。
バトルはそれこそエンターテインメント。巨人と戦うことになるので、文字通りに攻撃を掻い潜りながらの攻防による高速移動と、目にも鮮やかな超絶火力のオンパレード。中でも火尖槍、混天綾、九竜神火罩といった鬼宝でフルアーマー装備になったリタは格好良すぎです。
馳郎のカエアンが共闘していく姿にはこっちまで叫びたくなる。北斗と蓮花コンビも地上戦、空中戦と他に埋もれない個性と魅力があって良い。コチラは今後の伏線にもなっていました。
見事。著者の文章は読みやすく美しいけれど、これは流石です。面白かった。
Presented by Minai.
- 作者: 三田誠,ゆーげん
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/05/31
- メディア: 文庫
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