Infinity recollection

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ストレンジムーン 宝石箱に映る月 (電撃文庫) [感想]

ストレンジムーン 宝石箱に映る月 (電撃文庫)

 

これまた大型の現代ファンタジーが始動しましたね。封印されていた「マリアンヌの宝石箱」が解かれたことで、異能者たちが解き放たれてしまい。現代を舞台に戦いが巻き起こる――主人公はそんな争いの中心へと知らず内に片足を突っ込むこととなる。

 

圧巻なのは、その作りこまれている世界観だろう。「皇帝」を筆頭に、弓使い、記録者など、固有の異能力に準えて二つ名があり、一種タロットカードを思わせる多様性がまずは目を引く。

 

加えて、登場人物たちもそんな多様性に合わせるように、個性あふれるキャラクターばかり。世界に暗躍する組織も、四大勢力がバランスを保っているような構図が面白い。

 

そして何よりも、しっかりと主人公を案内役として機能させている。読み手と書き手をつなぐ調整役に相応しい能力と設定ですし、現代人らしい感性も持ち合わせている。玲音はとても好感が持てる主人公でしょう。

 

物語はまだ序章という体を成してはいるのだけれど、友人たちがいきなり敵対関係に割れることや、幼馴染と義妹との修羅場にも似た恋愛模様にも注目できる。とにかく読みどころが多い。

 

本作は「パラサイトムーン」と同じ世界観ということだけれど、読んでいない身としても新作として素直に読み込めたのは、著者の文章が読みやすいからだろう。丁寧ですし、描写が綺麗。

 

 Presented by Minai.