僕と彼女とギャルゲーな戦い (メディアワークス文庫) [感想]
現実は楽しいことばかりじゃない。
タイトルからはラブコメを想像させるけれど、恋愛云々という作品ではない。ギャルゲーを作るという意味では、恋愛が絡んでいるとも言えるのだけれど。小説家を夢見ていた主人公が、現実を知り、成長する物語。
ゲーム会社の修羅場とは。
主人公は小説家を目指していたが、気づけば大学四年生。自分には才能がないと諦め、他の学生と同じように就職活動をしていたが未だに内定無し。そんなときに高校時代の先輩からゲームライターの仕事をお願いされるのだけれど、これがまた心にグサグサと刺さる。
社会人として、お金を貰うということがどれほど大変なのか。創作を仕事にする、ビジネスとして創作するということは、絶対的に面白い作品を作ることではないという現実をつきつけてくる。
面白い作品にならないから、発売延期にしますは通らないのだ。予算と相談して、スケジュールを調整して。トラブルが起きたとしても、全力を尽くすのがプロ。その先にはゲームの購入者がいて、消費者たちには製作者の泣き言など価値がない。目の前にある作品こそが全てなのだ。
好きなものを仕事にすることの大変さと同時に、素敵さを教えられた気がする。情熱と信念を持つことは素晴らしいけれど、本作での主人公の選択は共感できるか出来ないかは人によりそうですね。
Presented by Minai.
- 作者: 西村悠
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2010/11/25
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 71回
- この商品を含むブログ (17件) を見る