Infinity recollection

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長門有希ちゃんの消失 とある一日 (角川スニーカー文庫) [感想]

長門有希ちゃんの消失 とある一日 (角川スニーカー文庫)

 

漫画では読んだこともある「長門有希ちゃんの消失」ですが、今年はアニメが放送されるということで改めて「涼宮ハルヒの憂鬱」を28話と劇場版「涼宮ハルヒの消失」を見ていたりしたわけですが、更に放送直前になり「長門有希ちゃんの消失」がスニーカーから発売されるとのことでしたので、流れに身を任せて購入したしだいとなりました。著者は最近では「GJ部」でお馴染みであろう新木伸先生。同作の4コマ小説形式に則り、本作である「長門有希ちゃんの消失 とある一日」は描かれていくわけですが、期待を裏切らない想像通りの出来栄えです。GJ部」が好きである好感が持てる人は問題なく楽しみながらニマニマして読めることでしょう。漫画版でも描かれているように、長門は小鳥やハムスターといった小動物を彷彿とさせる可愛らしさを持っていますし、朝倉のキョンに対する飄々としたやり取りなどは弟に接するときのそれに見えて何とも微笑ましい。ときたま見せる”あの頃の朝倉さん”が薄ら寒いみたいな「涼宮ハルヒの憂鬱」ありきの表現もこの手のスピンオフ作品の強みだといえるだろう。むしろ「あーそれみたことある」的な既視感を表現せずして「消失」と言えるのかという作品のアンデンティティーに関わる哲学の迷宮に片足を突っ込みつつ、キョンと古泉の無駄会話を思い出すのでした。地球をアイスピックで突いても丁度良い感じには勝ち割れない程度に暖かい日が続いているわけですが、故にキョン君は絶望という名の暗い海へ恐怖という名の奈落の底へ突き落とされることなく――否最初から世界はこうだったのですから不思議なことは起こらないし時間跳躍もしないわけで、そんな長門と朝倉さんとの日常系学園ラブコメが好きな人は手にとって見てはいかがだろうか。もっとも、1時間程度で読めてしまうからコストパフォーマンスはよろしくないのですが。