大日本サムライガール 4 (星海社FICTIONS) [感想]
右翼アイドルvs左翼アイドル
相変わらず面白いです。今回は新キャラクターである栞が登場することになるのだけれど、キャラの立たせ方が上手い。栞は関西弁で捲くし立てるように喋る快活な少女ではあるが、その実、マルクスの共産主義を信念に持っていたりする女の子。つまりは日毬の対極に存在するようなキャラクター。
そんな左翼思想を持った栞が日毬とぶつかることで、両者の個性がより際立って見えましたし、何より台詞回しや議論を展開させる間のセンスが良い。徐々に栞の背景が見えていくところも良く出来ているので、一気に引き込まれる。
東京vs大阪
全てにおいて対立する形になっていたのが面白かった。栞が東京が標準だと思うなよ、みたいなことを言う場面があるのだけれど、まさにそれで、日毬も栞も考え方は全く違うけれど日本を良い方向に導くには――という部分は同じ。
颯斗が作中で言うように、全てを線で区切って右左と分けてしまうことは間違いで、視点により全てが同一にも映るし真逆にも映る。二次元的に捕らえていたものが実は三次元的かもしれない。そういう意味でも日毬と栞は似ているし、似ていない。だからこそ凄く良い友達、親友になれるのではないかと期待してしまう。
あと、何気に興味深かったのは東京と大阪の違いだろうか。読み手などは東京側の人間なので、改めて説明されると温かみだとか独特のノリだとかに感心させられる。日毬が京都の話題を出したときの反応とかも面白くて、実際に大阪とは反目してそうだなとか。行政の視点でも東京と大阪を比較していたのも良かったです。
これで本格的に物語の鍵が出揃った雰囲気があるので、このまま「ひまりんプロジェクト」をV字復活させて欲しいですね。次は企業がもっと大きくなる気配がありますし、会計士を得たことで幅も広がりそうです。続きが楽しみでならない。他レーベルと比べても、現行のシリーズ作品の中で一番楽しみにしている作品かもしれません。
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- 作者: 至道流星,まごまご
- 出版社/メーカー: 講談社
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