火の国、風の国物語4 暗中飛躍 (富士見ファンタジア文庫) [感想]
まさに一騎当千。
アレスがやってくれます。今回は王国軍側と反乱軍側の両方から暗殺されそうになるアレスを描いているわけだけれど、これが異常なほどに死なない。
読み手はパンドラの存在を知っているので、アレスの未来予知的な勘の良さの理由は分かっているけれど。作中の敵や味方はそうではない。このアレスの異常さというのが、視点を変えることで周りのキャラクターから伝わってきた。
どんなに命を狙われようとも、生き延びる。
これはもう悪鬼羅刹の類と言われて仕方ない。赤の悪魔憑きと呼ばれるくらいは当たり前でしょう。これまでは読んでいても記号だったものが、本当にそうだよなと変に納得させられた。
終盤には千人の敵に四人で立ち向かうことになるが、これにも勝利してしまうのだから圧巻だ。
また、アレス暗殺の刺客としてベアトリスが差し向けられるのだが、このベアトリスがアレスを誘惑しようとしたり、逆にアレスに惹かれたりしてしまうのが良かった。
女性の扱いが苦手なアレスの反応、刺客ベアトリスの変化、クラウディアという存在。それらが面白さを出してくれていた。
物語としては大きく動くわけではないのだが、今回の話は引き込まれた。アレスというキャラクターの魅力が前面に押し出されていて、読んでいて気持ちがよかった。
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- 作者: 師走トオル,光崎瑠衣
- 出版社/メーカー: 富士見書房
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