Infinity recollection

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ムーの少年 (角川書店) [感想]

ムーの少年

 

その現実はどこまでが現実なのか。

 

ムーを愛読する少年が出会うことになる少女は、自分のことを魔法使いだと言い張る。彼女の言動はまさに電波で、主人公はそれに巻き込まれることになるのだが、果たして本当に電波なのか。

 

読んでいて、誰が本当のことを言っているのか分からなくなった。主人公もいい加減に世間を斜めに見ている学生で、彼女のことを電波だという。けれど、始めから主人公の方が幻想を見ているだけなのではないかという思いに駆られる。

 

ふわふわと漂うように不安な気持ちにさせる雰囲気は良かった。

 

また、物語は学生と大人の狭間、現実と妄想の狭間、そういう部分を描いている。現実は生きていくのがとても辛い、妄想は生きていくのが楽だ。なら、どちらがいいのか。

 

学生らしい考え方は誰もが通る道、それを少し大人になった読み手が読むことで妄想している、そんな現実に出合えていることが羨ましく映ったし、行動できることが青春。

 

現実と妄想で選択を迫られたとき、自分はどちらを取るだろうかと、興味深かった。物語を読み終わったときに、主人公がどうなるのか。つかみどころがないけれど、何かをつかめるかもしれない。

 

面白かった。

 

 Presented by Minai.