世界平和は一家団欒のあとに〈4〉ディア・マイ・リトルリトル・シスター (電撃文庫) [感想]
彩姉ぇがお子様に!?
仕事は運び屋で、いつも酔って帰ってくる姉。クールで格好良く、魔法が使えてとても強い姉。今回はそんな星弓家の長女、彩美が主役のお話。
彩美は振り幅が大きくて、様々な面が見れる面白いキャラクターだと思うのだけれど、これまでは脇役もしくはその脇に順ずる扱いで、あまり深くは触れられていない。今回はそんな彼女の魅力が見れる。
年上なのに、小さくなってしまった。
物語上、長女なのに妹弟たちよりも年下、10歳になってしまうことで、年上なのに可愛いという差がまずは四巻での魅力だ。精神は大人のままなのに、小学生の様に小さい。母親と次女は小学生に接するように彩美を扱うのも、微笑ましい。
彩美が子供になってしまった理由を追う形で物語が進むのだけれど、その合間に彩美の高校時代や過去の彩美が描かれるので、徐々に彼女がどんな女の子だったのかが分かるような流れになっているのは上手い。
見事に素直になれない女の子。
好きな人に素直に好意を表現することが出来ない不器用な彩美。本当は怖いのだけれど虚勢を張って頼れる人のポジションになってしまう不器用な彩美。
この高校時代の恋心を忘れられなくて、それ以降の人生に少なからず影響を与えていて。最後の≪ネタバレネタバレ≫は意外と乙女な一面があるのだなと分かったりして可愛らしいです。
また、弟のピンチに颯爽と現れて格好良い姉という一面もあったりして。長女なのだなと認識させられる場面もある。これら含めて今の彼女があるし、変わってしまった様に見えても人間そうそう変われるものでもない。終盤になるとキャラクターが優しく温かみが増していた。
そんな年上な姉が魅力全開な中、柚島も負けていない。無意識の内に出てしまったパパ発言。軋人との仲はあまり描かれないけれど、何だかんだで見せ場がある。
物語で描かれる事件の真相にはやり切れないところもあるのだけれど、切なさの中に友情と恋愛があって、これはこれで良かったのかなと。
面白かった。続きも読みたい。
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世界平和は一家団欒のあとに〈4〉ディア・マイ・リトルリトル・シスター (電撃文庫)
- 作者: 橋本和也,さめだ小判
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/04
- メディア: 文庫
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