雅の婚カツ戦争 (幻狼ファンタジアノベルス) [感想]
大手銀行で活躍する九条雅は、誰もが認める美人であるにもかかわらず、結婚相手が見つからない。理想の結婚相手を探すため、自ら結婚相談所を立ち上げることに。
――ラブコメしている。
著者の作品ということで、起業、ビジネスの部分はもちろんあるのだが、物語は結婚をテーマとしたラブコメに仕上がっていた。会社を大きくするということよりも、恋愛がメイン。
ヒロインは3人いるのだけれど、誰もが魅力的に映った。唯一の男である京介が売れない作家というのも、著者が描くから意味が出てきて面白いですし、純粋に京介が羨ましい。
コミカルさも良かった。3人に何かにつけて貧乏ということをネタにされた京介が、それに対して切り返すのだが、この切り返しが楽しかった。京介が叫んで落ちる、パターン化しているけれど笑いのセンスは好きだ。
物語は結婚というテーマに対して、結婚相談所という客観的な立場から客、いわば婚活している人たちを描いているのだが、これがそのまま婚活への皮肉、あり方、考え方を提示しているのが良い。
年収、容姿、で相手が決まったり、そこから相手のグレードを落とすという話があったり、結婚の形をそれぞれ見せてくれたのが面白かった。
また、日本の結婚費用は高いという視点から物語を描いてくれたのは興味深かった。昔から言われているが、日本の結婚、葬式の費用は世界的に見ても高い。加えて、安く済ませることが悪いみたいな印象が世の中に付いて回っている。そこに噛み付いてくれていたのは良かった。
ビジネスという部分についても、著者の今までの作品では如何にして会社を大きくするか。何をやってでも利益を上げる、効率的に合理的に会社を大きくする。というような視点があった。
それが今回は、大きくするにはするが、正攻法で大きくする。正義を貫いていたのがこれまでと違う。グレーゾーンの企業経営に関しては、それは違うと雅は言う。そういう意味でもビジネスよりはラブコメ側の作品。
面白かった。続きは出るのだろうか。
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- 作者: 至道流星,上条衿
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2011/02
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