神様のメモ帳 8 (電撃文庫) [感想]
蘇るエンジェル・フィックス。
序盤の話のまとめ具合から短編集かと思っていたら、あれよあれよと話が続いていくのは面白い感覚だった。それぞれの出来事は独立もしているのだけれど、根元では繋がっている。自然な繋がりで違和感無く読ませる文章は流石。
作品の始まりである一巻を下地に、終わったと勘違いしていた事件を終わらせる。
彩夏を巻き込まないように動こうとする鳴海と、エンジェル・フィックスを止めるためなら彩夏をも巻き込む四代目。二人は意見の違いから対立するようになってしまい、お互い独自にエンジェル・フィックスを追うことに。目指すところは同じなのに考えは違う、すれ違う姿が悲しい。
人と人の繋がり。
鳴海の味方になってくれた探偵事務所の皆と、守ろうとした彩夏が逆に力になりたいと言ってくれた。そこに人の繋がりを感じた。今回は四代目の親父さんのことがあるので、余計にそう感じてしまう。
事件の真相は美しいの一言だろう。優しさが溢れた透明な空気に包まれていた。読み終わったとき表紙を眺めて、感慨深い気分に浸る。面白かった。
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- 作者: 杉井光
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2011/09/10
- メディア: 文庫
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