剣澄むーTSURUGISMー (このライトノベルがすごい! 文庫) [感想]
第3回このライトノベルがすごい!大賞 優秀賞受賞作
よく出来ている。物語に一本筋が通っているし、文章も読みやすくまとまっている。これまで読んできた受賞作の中でも抜群に安定している印象を受けた。
魅力的だったのは世界観。現代の東京に、江戸時代の背景や文化をそのまま入れ込んだらどうなるのか。特別に帯刀を許可されている御三家による、家名を賭けた御前試合までとその死闘が描かれる。高層ビルや携帯電話があるのに雰囲気は時代劇そのもの。若干、時代背景を現代にする意味はあるのか疑問だが、武士の生き様は格好良い。
斬り合い、殺し合いの凄みが良い。
御前試合に赴くまでの村正とのやりとりも面白かったですし、典型ではありますが刀剣が人の姿をとれるというのは、他の刀剣類がどうなっているのか興味がわいてくる。今回はあくまで試合と斬り合いに注視しているので、深くは描かれないが、色々ありそう。
疾走感のある剣戟の描写も上手くまとまっていた。本作はただ安直に会話だけで繋げていくタイプの作品ではないので、映像となって死闘が再現されるところは魅力だろう。
問題があるとすれば……、地味。見事に売れなさそうな雰囲気があるのが残念なところだろうか。
Presented by Minai.

剣澄むーTSURUGISMー (このライトノベルがすごい! 文庫)
- 作者: ますくど,ricci
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2012/10/09
- メディア: 文庫
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