《名称未設定》 Struggle1:パンドラの箱 (ファミ通文庫) [感想]
第14回えんため大賞 特別賞受賞作
武器の説明が面白い。これだけで物語に引き込んで、展開を盛り上げているのは本作の強みだ。
ゲームに提供される不思議な武器の数々は、元々が未来人の玩具なので、現代の感覚からすると異常兵器に映る。作った人間は狂気に駆られているとしか思えないような珍妙で凶悪な玩具。それが何ともコミカルテイストな説明で解説されるのだから、その落差が回りまわって思わず笑えてくる。
未来人にとっては常識である如何にもな事柄は、到底理解することが出来ないので、〈デイドリーマーズ・ストラグル〉の異常性がより際立つことになり面白いのだ。文章も読みやすいですし、世界観と設定とよく出来ている。
ただ、異常ゲームでバトルしている割には、どこか落ち着かない。というのも、主人公たちの望みが漠然としているので感情移入し難いのと、何で戦っているのか良く分からないというか釈然としない。本気で戦争を回避したいのかが見えてこないから現実感がないし説得力もない。
現代人っぽいと言ってしまえばそうだけれど、ついででゲームされても……と考えてしまう。背景はこれから語られるということだろうか。どうにもそこは気になった。
世界観は凄く楽しいし、最高のスケールと興奮が用意されているのに勿体無い。
Presented by Minai.

《名称未設定》 Struggle1:パンドラの箱 (ファミ通文庫)
- 作者: 津田夕也,鵜飼沙樹
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2013/01/30
- メディア: 文庫
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