マグダラで眠れ (4) (電撃文庫) [感想]
カザンに辿り着いた果てに。
過酷だ。カザンに残された文献を読み、新たな工房を建設し、異教徒の町で一体どんな楽しいことが待っているのかと思えば、待ち受けているのは新たな試練。
マグダラを探し求める者として、幸せを教授することは出来ないのと漠然と考えていたクースラが、幸せを与えてくれるフェネシスと出会って、新天地でのひと時の安息を得たことで思わずここにいたいなと思ってしまう。
中盤までは温かい希望に満ちた日常が描かれるが、以降は窮地に追い込まれる。これまでもそうだったが、クースラの決断が痛い。合理的に一番の利益を得られる方法を取る――のだが、今回は少し違う。
フェネシスがクースラに与えた影響と、クースラがフィネシスに与えた影響の両方を見ることが出来て、物語に与える影響が大きくなってきたのが印象的でした。
謎を解き明かしていく面白さ、探求していく面白さがある作品だけれど、イリーネが加わったことで会話劇の広がりも出来たのですよね。みんなのことを考えるようになったクースラたちの人間関係により深みが出てきたので、これからも楽しみです。
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